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渚の嫌われ松子

何だか自分の過去を見ているようだった。

僕の人生で最悪の日-。
僕の生涯でただ一度の「告白」の日-。
あの日、僕は、もう頭がおかしくなりそうなほど「彼」を好きになっていた。
どうしていいかわからず。
どうして欲しいのかもわからず。
ただ、自分の思いを伝えたくて、ただそれだけで精一杯だった。
人生が終わったと思った、17歳。
嫌われ松子のように....

その映画のことは知っていたけど、観たことがあるかどうか定かではなかった。
どうぞというお言葉に甘えてお借りした「渚のシンドバッド」を観てタイムスリップした。
高校時代の自分は「悩み」が歩いているようなものだった。
同級生や後輩に思いを寄せては、それを昇華することができずに爆発しそうな自分を持て余し、この世でたった一人不幸を背負ったと思い込み、その過酷な運命を呪い、受け入れ難い「性癖」を治癒すべく医者にも通った。
そんな暗黒時代の自分と重なる設定に、思い出したくない過去を思い出していた。
そうだ、僕もあの日、彼の自転車の後ろにまたがって、彼の背中を感じていた。
彼の部屋で、僕はもう何語かわからない言語を駆使して自分の思いを伝えた。伝えられたかどうかはわからない。何と言ったかもはっきり覚えていない。でも、言わなければ僕は死んでた。死にそうなほど恥ずかしい思いをしながらも、僕は彼に伝えたかった。
好きだということを。

当然のことながら、彼がそんな僕の思いを受け入れるはずもなく、僕は見事に玉砕したわけだけど、次の日からどんな顔して接したらいいかと思うとまた死にたくなった。
彼は今まで通り普通にしてくれてはいたし、誰にも口外することもなく、その後二度とそのことについて触れることはなかったけれど、きっとどこかで僕のことを軽蔑していたのかもしれない。

僕はと言えば、それからも悩み続け、24歳くらいまでは完全には受け入れてはいなかったと思う。どうして自分はそうなのかを知りたくて、どうしてそうなったのかを知りたくて、色んな文献を読んだりもしたけど結局わからなかった。医者も僕を「治癒」することはできなかった。
当たり前だよね。これは病気ではないのだから...

基本的には17歳の頃と何も変わってはいない。
相変わらず、後輩や同僚や先輩やその他を好きになってしまっているし、節操の無さは益々磨きがかかってきている。あの時悩んだのは一体何だったんだろうか。

ただ、映画の中の彼らのように、17歳の頃の自分のように、ただ感情だけで突っ走ることはもうできない。少しだけ大人になった自分が、ほんの少し先の未来を信じて、自分らしく生きようとしていることだけが救いかもしれない。

松子は叫んだ。
「何で?なんで~~~~!!!!」
僕は叫ぶ。
「やっぱり?やっぱり~~~~~!!!!!」


※嫌われてもいい。僕は僕でありたい。

by ten2547 | 2007-10-28 22:03 | 回顧