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スガ シカヲ

満月、だろうか。

今日は富士山の血管までくっきり見えたってさ。
新幹線から眺めてたそうだよ。
風が冷たいんだ。
でも、空が高かった。青かった。
そんな金曜日は、一日中会議と打ち合わせで、あっという間に過ぎていった。
そんな一週間は、僕に宿題を山ほど残して、ニコニコ顔で休日を迎える。

明日、髪を切ろう。
いつもの店で。
たった30分で、僕はひと月前の僕に戻る。
ひと月分しっかり年をとったのに、
それだけ死に近づいたのに、
V6みたいなジーンズに憧れてる。
それもいいんじゃない?

暖冬だと騒いだのは誰だろう?
今夜は刺すように冷たいし、
明日は切るように凍えそうだし、
でも今夜は月見でワインを流し込めば、
また内臓が悲鳴をあげて、
痛みというお友達にもれなく再会できるよ。
激痛だ。親友だ。
死ぬまで続く僕自身の生きる証だ。
生きることは苦しみだ。苦しみそのものだ。
その合間に見える緩いシアワセっぽい感触を、
くるまった毛布に感じることが出来れば、今日は上出来だ。

何も問題ない。
それだけ何もないということだ。
週末のお誘いも待ち遠しいやら、煩わしいやら。
最近、独り言が多くなったよね。
独り言って、本音ってことだね。
だからその時だけ、生まれ故郷のコトバになる。
もう忘れてしまった、遠い昔の響きだけれど、
身体の芯に染み付いて離れない匂いのように、
僕の一部になっている。
本音、か。
ここじゃなくて、あそこで言って欲しいもんだな。
大きな声でさ。
アイツに向かってさ。
声、小さいよね。
自信がないんだ。
自分に。自分の存在に。自分の思考に。
ペラペラに揺れる頼りない姿を想像して、
給湯室でうずくまる。

そして、崩れるようにつぶやいた。

「おかあさん...」

それって誰?


※終わらない、果てしない、人生という宴の真っ最中に、吐く。

by ten2547 | 2007-02-02 21:48 | 白書