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ええかっこしい

お前、なにいきってんねん!
子供の頃、そう言われるのが一番恐かった。
僕のふるさと。『きれいな言葉じゃない』と、誰かが歌ってた。
生まれ育った場所なのに、いつかは帰りたいと一度も思ったことのないところ。
だから、君が羨ましい。
自分のふるさとを愛し、いつか帰りたいんだと熱く語る君が。

今日、久々にその地を訪れた。自らの意思ではなく、仕事で。
懐かしい言葉を電車の中で、街で、聞く。
僕もここでは確かに話していた。
何の疑問も持たず、普通にしゃべっていた。
いつの間にか、僕は過去を全て捨て去るかのように、
彼の地を離れ、言葉も変わり、まるで、自分とは関係のないことのように
遠い記憶の彼方に葬り去った。
両親に会う。
別に会わずに帰ることもできたけれど、顔くらい見ておくかな、なんて
まったく愛情のない、仕事のついでのような感覚で。
彼らの望むものを何一つ与えてあげられないことに、申し訳ないと思い、
だけど、これが僕の運命なんですよと、心の中でつぶやく。

オマエは、結局かっこつけてるだけなんや。
「ホンマの僕はこんなんやない」とか言うて、違う自分を演じてるだけやないか。
いつからか、オマエはウソを正当化し、自分の心が見透かされないように、
表面だけを取り繕ってきた。
ここに書いてることがそうや。
これは自分の言葉やない。全部ウソや。自分では気付かへん、真のウソ。
無意識のウソ?そんなんあるんか?
オマエはホンマの自分を知ってるクセに、適当なこと言うて誤魔化してるやろ!

いくら責められても、もう昔に戻ることはないことを、
本音で語ることはないことを、自分が一番わかっている。
僕のふるさとは、たまたま生まれて育ったところ、以上の意味はない。
その場所と、言葉の持つ魅力は、
僕にとっては野球と同じくらい興味のないことになっている。

何いつまでもそうやってかっこつけとんねん。

もう一度、彼の地で暮らすことがあれば、僕はもう少し丸くなれるんだろうか。
ふと、そんなことを思った日。

by ten2547 | 2004-09-18 00:58