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余韻~耳に、肌に、背中にも残る~

キミの歌声が5月の爽やかな風に乗って僕の部屋に響き渡る。
次々と浮かぶ光景は、ついこの間の出来事だというのに、既に思い出の引き出しの一つに収まろうとしている。全ては過去形で語られる、まるで夢のようなオハナシに変わる。

写真もない。
でも、ここに刻もう。確かに僕が自分で経験した生身の人間同士の営みを。
ユビキリゲンマンとは行かなかったけど、確かに僕らは約束した。遠い未来のある日、僕らは街角ですれ違う。同じ時、同じ空間を共有しながら、50㎝の違いで通り過ぎる。ほんの少し顔を向ければ視界に入るのにね。
でも、会えるかもしれない。電話をすればいい。そこに行けばいい。生きていればきっと会える。

希望もない。
距離と時間はきっと今の感情とは異なるものを創造する因子となる。
それを全て乗り越えてまで維持しようと思えるものはそうはない。それほど大事なら、もっと大切にした方がいい。使い捨てのような、いくらでも代わりがいるような、軽い感じでいいなら、それでもいい。その方がいい。それが僕らにはお似合いだから。

余裕もない。
完全燃焼した翌日は、あっさりとした冷やしそうめんがいい。
疲れた身体には休養よりも睡眠よりも、風に揺れる緑の葉っぱがいい。
回らない頭には、一番感動したあの日の自分を思い出せばいい。
僕は、次へと進む。

※夜明けの街角で抱擁した。
  それが永遠の別れになることをお互い知っていたから。
  全てがウソというわけでもなく、どこまでがホントウかもわからない。
  それでも、僕らはほんの一瞬の、笑顔がくれた真実を糧に生きていける。
  こうして、余韻が導く正しい方向を向いていれば、大丈夫だ。
  大丈夫だ。

by ten2547 | 2005-05-08 18:09 | 旅行