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再びの上弦の月

今夜は上弦の月。
昼間は風が強く、春のような陽気だったのに、月を見上げての帰り道は、
朝は重かったコートが有難く感じるほど、冷たい風にさらされた。
少し先の未来さえ見えない。

少しずつ、全てが平常に戻っていくような気がする。
希望でもあり、思い込みのようでもある。
まだ、自転車には乗れない。走れない。もちろんジムにも行けない。
車の運転も長時間はムリ。遠出もできないし、映画を観ることもままならない。
普通の、最小限の生活が送れているだけで満足するしかない。
それでも、寝たきりになるよりはマシと考えよう。
歩けるだけいいと思うようにしよう。
腹を圧迫するコルセットも手放せない。
これから、一歩ずつ、初めて歩けた幼子のように、前に進むのだ。

そう思わないと、得体の知れない不安に押しつぶされそうになる。
自分の弱さが総動員で僕を永遠の眠りにつかせようとする。
もう、疲れたよ。
ものすごく疲労する。
だから、終わりにしたくなる。
全てから解放されたいと願う。
あまりに後ろ向きで、情けない自分も許してしまう。

見上げると、月が笑ってた。
じゃ、死ねば~ってケラケラ揺れてた。
そんな勇気もないクセに、毎日毎日抜け殻みたいに浮遊してても、
な~んにも起こらないよ。だ~れも助けてくれないよ。
わかってる。そんなこと、望んでもいない。

ただ、ホントに疲れたんだ。
無用な力が入っている。必要以上の圧力が身体にかかっている。
もっと力を抜いてさ、誰かによりかかるとか、そういうのないの?
欲しいだろ?ぬくもりも、喜びも、ときめきも..
・・・・・・。

さあてと、明日から3連休だ。
楽しく過ごさなきゃ。
考え方を変えて、少しは外にも出かけないと。
きっといい天気だ。
友達を誘ってごはんでも食べにいけばいいじゃん。
お酒だって飲めばいいじゃん。

そうすればいいのに、とこころの中では思っても、
せっかくのお誘いにも冷たく返事する僕がいる。
笑えない。楽しめない。
ただ、ただ、不安で不安定で、崩れ去りそうで、守りたくなる。
守るモノなど何もないのに。

東京へ行こう。
新幹線に乗って、意味もなく、あてもなく、何もないけど行くことはできる。
もう何ヶ月もご無沙汰だ。
僕のボトルはホコリをかぶっているだろう。
もう無いかも知れない。

僕がこの世に存在しなかったかのように、
僕を待っているはずの液体も全て蒸発してしまい、キミ誰?っていうまなざしに
晒されるだけ・・ ハハハ、ひ、久しぶり、だね。
滞在時間3分で帰路につく。

やっぱりここにいよう。
どこにいても同じなら、この巣にこもってイジケテいよう。
欲しいものもない。
食べたいものもない。
ない、ない、ない、全てない。

欲しいものだけが手に入らない。
いらないものに囲まれて、それでも不快な思いをしなければ、ひとは耐えられる。

全部ひっくるめて、愛しい。

by ten2547 | 2005-03-18 21:48