カテゴリ:白書( 153 )

プランB

記憶が無い、とか、そういうことは決してない。

あの日、僕が死に損なった、のは確かだ。

まるで、何事も無かったかのように平然と暮らしている自分を、
不思議な気持ちで眺めているもう一人の自分がいる。

誰にも知られずに生還した僕は、その日を境に愛する人と暮らし始めた。

重大な決意とか、人生の転換期とか、何かの区切りとかを感じることなく、
あらかじめ定められた事柄を淡々と実行する、幸せ。

ただ、キミが好きだ。
それ以外、今の僕には何もない。
好きで好きで死ぬほど好きで、それで死のうとして失敗した僕のことを、
キミは何も知らずに受け入れてくれている。

きっと信じないだろうな。僕の死体を発見するのはキミのはずだったんだ。

こうして笑って過ごしていることは、危うい綱渡りの成功率に賭けられた、
マヌケな博打の成れの果てだって事を、伝えようとして失敗した。

ゲームみたいにリセットできればいいけど...

ホント、何事もなかったかのように自然に振舞っている自分を、
不思議な感覚で見下ろしている自分を、遠くで見ている自分がいて、
そんな自分を褒めたり貶したり、好き勝手やっている自分も加わったりして、

僕の生活は賑やかだ。


※全てキミのおかげです。
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by ten2547 | 2010-10-17 11:08 | 白書

薔薇一輪

今日はホンモノのシャンパンを買った。
いつも人にプレゼントしてばかりだった、ヴーヴ・クリコを、「ご自宅用」に買った。
僕らの大切な記念日だからね。
僕も初めて飲むんだ。
それと花も一輪飾ろうね。

キミの好きなものを買った。
僕の好きなものも作ろうと思う。
小さな星型のケーキもあるよ。
七夕にあわせたお菓子がいっぱい売ってた。
僕らが出会ったあの日は雨が降っていた。

あれから一年、僕は人生で最高の幸せを味わった。
もう自分には決して訪れないだろうと思っていた感動を経験した。
これからも、ずっと、キミとならうまくやっていける。
そんな歌の文句みたいなセリフが照れも無く言える。
今日が人生最良の日。
だからこれで終わりにしようと思う。

たくさんのシアワセをありがとう。
たくさんの思い出をありがとう。
たくさんの愛をありがとう。

世界一、大好きなキミへ。


※どうして今日はこんなにいい天気なんだ!
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by ten2547 | 2010-07-04 16:49 | 白書

全て終わっていく

身体にチカラが入らない。
気力が湧いてこない。
がんばろうっという気持ちになれない。
もう駄目だ、が口癖だ。
なぜか心臓がドキドキする。
世界が終わってしまえばいいのに、なんて考える。

世の中常に誰かの陰謀に満ちている。
疫病も災害も全て誰かが仕組んだのだ。
信条や正義とは関係ないところで争いが激化する。
人のことなんてどうでもいい。
いかに自分が恵まれていないかを再認識し、
どれほど自分が搾取され虐げられてきたかを知るにつけ、
日に日に怒りが増していく。

オレって何で怒ってたんだっけ??なんてね。

何も学ばず。
何も努力せず。
何も生み出さず。
ただ生きている己を持て余す。

幼児のように甘えてみる。
恥ずかしい格好でじゃれ合う。
末期的で排他的で退廃的な埃っぽい部屋の片隅だけが、
安住の場だ。

逃げている。
ただひたすら苦役から逃亡している。
このまま両手を挙げて降参するのか。
それとも奮起して前進するのか。
ぼんやりとして考えがまとまらない。

絶えず鳴り響くザ~っという耳鳴りだけが、
僕の行く末を映し出す鏡だ。

キミに会いたい。
キミに会うのが怖い。
キミに会うたび、確実に死に近づく。
全てが終わりに向かって加速する。

全て、が。


※孤食のススメ
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by ten2547 | 2010-05-18 23:25 | 白書

ポジティブ

キミは何でもいい方に考える。
どんな状況でもプラス思考だ。

僕とは正反対だね。

そんなキミと話していると、いつも新鮮な驚きがある。
いつも感心させられる。

そしてこころがホッとする。

僕はキミを落胆させ、不快にさせ、ついでに悲しませている。
全てを否定的に捉えて、
何でも最悪の状況を想定してしまう。

疲れるだろう?
つまらないだろう?
呪文のように唱える愛の言葉は、
そんな不安を払拭するための儀式なのかもしれない。

こころを平穏に保つためのおまじないだ。


※今日もガンバロ~!!
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by ten2547 | 2010-05-12 22:40 | 白書

ネガティブ

僕と何かを一緒にしたいとキミが言う。
僕は今のままでいいよとそれをかわす。
今のままって何ってキミが聞く。
上手く答えられなくて流れる沈黙をテキトーにごまかす。

そうやってウソばかりつくんだねってキミは沈む。

僕だって一緒にしたいことがあるんだよ。
でもそれはキミがあまり好きじゃないってこと知ってるから、
僕は言い出せないでいるんだ。
キミが用事でいない間にこっそり一人で楽しんでいるんだよ。
本当は一緒にやりたいんだけど...。

キミといれば楽しい。
何をしていても、何もしなくても、ただ一緒に過ごしているだけで、
僕は幸せなんだ。

それは本当だけど、

何かをしなければいけないって思うだけで、僕は疲れてしまう。
僕は不器用なんだ。
あれこれ一度にできないんだ。
おまけに、

常に思考は否定的だ。

全てを失ってしまわないように、
全てを投げ出してしまわないように、
お願いだから、わかって欲しい。

それでもキミが想うのと同じくらい、僕はキミのことが大切だってこと。


※誰かを傷つけないと生きていけない自分にサヨナラしたい。
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by ten2547 | 2010-05-10 22:56 | 白書

ハルは死んだ。

何が悲しゅうてそは降り注ぐのか。
何が苦しゅうてそは求め請うのか。

何もかもが狂うてしもうた。
何もかもが枯れてしもた。

寒いしの。
暗いしの。

深いため息と共に過去へ遠ざかった。
深い落胆の果てに未来が扉を閉ざした。

褒められては落ち込み、
煽てられては歯軋りし、

もう一歩も前へ進めない。

死んだのだ。
春は死んだ。

天はお怒りじゃ。


※我の選ぶ道はひとつ...
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by ten2547 | 2010-04-27 22:29 | 白書

帰路

お母さん。

僕は今とても好きな人とお付き合いしています。

でも、その人とは結婚することも出来ないし、

孫の顔を見せてあげることもできません。

でも、僕は最高に幸せです。

その人とこれからの人生をともに歩んで行きたいと思っています。

こんな僕を許して下さい。

あなたの望むものを何一つ与えてあげられない息子を、

わがままで身勝手な僕を、

どうか許して下さい。


※たぶん、ムリだと思うけど...
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by ten2547 | 2010-02-12 21:04 | 白書

rouge

秘めたるもの。
抑えきれない感情。
余裕のない状況の中で、僕は人に寄り掛かる。

一人では何一つ出来ないことを思い知る。

キミの帰りを待ちわびて、一人果てた夜。
キミはただならぬ気配を感じて不安に駆られる。
理由はわからないけど、本当は知っている。

僕の背中で震える。
赤ん坊のように。
子犬の如く。
わからない、を連発しながら何かと戦っている。

どうしたの?
わからない。
気付いたんだね。
鋭い嗅覚で、僕の異変をとらえていた。

ごめんね。
抑制のきかない本能の導きは、一人の世界で完結する。
キミへの思いより、自分の欲望を優先する。

真っ赤だったよね。僕の部屋。


※ウソは罪
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by ten2547 | 2010-01-08 22:15 | 白書

fireworks

新年を祝う花火が川面を染め、
僕らはなんちゃってシャンパンで乾杯した。

不思議な出会いから半年、こうして何とかやって来れたから、
今年もまた、こんな風に一緒にいられたらいいね、なんて、
言葉にしてみたけど、それも不要なくらい自然に存在しているのがやっぱり不思議だ。

行き当たりばったりの食い倒れ珍道中も、これといったトラブルも無く、
かといってスペシャルなことも無い、場所を変えた「いつも通り」なんだけど、
それがまたしっくりくるところが僕たちらしいよね、とうなずくだけで通じてしまう。

平和で、静かで、満ち足りた新年を迎えられたことに感謝して...


※キミにありがとう。
 キミの友人にありがとう。
 お母さん、ごめんなさい。
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by ten2547 | 2010-01-02 17:19 | 白書

逃亡

逃げた。
苦しみから、逃げた。
何もかも放り出して、逃げた。
逃げて、逃げて、その果てにある絶望にまた一歩近づく。

捨てた。
ためらいもなく、捨てた。
全てゴミ箱に放り投げて、シュレッダーにかけた。
捨てて、捨てて、その先にある破滅にもう手が届く。

泣いた。
恥ずかしげも無く、泣いた。
あらゆる可能性を否定して、涙を流した。
泣いて、泣いて、その後にくる深い後悔に戦く。

幸せすぎて怖いとか、
優しすぎて辛いとか、
満たされすぎて重いとか、
身の程知らずの贅沢に溺れる。

自分の進むべき道を見失い、
下手な役者よろしく笑顔を作るその度に、
ため息と落胆を背負っているかのように足取りが重くなる。

僕を、解放して下さい。
僕を、自由にして下さい。
僕を、殺して下さい。
僕を、許さないで下さい。
僕を、忘れ去って下さい。

そして、僕を愛して下さい。


※頭が変になりそうな、理解し難い、幸福感に包まれながら...
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by ten2547 | 2009-12-23 21:31 | 白書