ムーンライトダンス

月がきれいな夜-
体の不調も忘れて、音楽に身を委ねる。
自分の日常には存在しない時間と空間に遊ぶ。
大勢で盛り上がっている人々を横目に、ちょっと地味だけど、恋人同士じゃないけれど、再会の喜びに浸る。
互いに年は重ねたけれど、それぞれ違う道を歩んでいるけれど、こうして元気な姿を見ることができて嬉しかった。
愚痴や不満は数限りなくあるだろうし、毎日笑って過ごせるわけでもない。
そんなこと言い出したらキリがないから、今日だけはすべてを忘れて楽しもうよ。

まるで幻のような光景。
光と轟音に包まれたホールで何かに憑かれたように、教祖様を仰ぎ見るように、ユラユラ揺れている無数の手、無数の肉体、様々な人種、だけどそこに居るのはひとつの共通項で括られた「選ばれし人々」だ。
僕らは得体の知れないエネルギーに導かれ、ここへ招待された。
ゲートをくぐった瞬間、背中に羽が生える。
空を飛んで、宙を舞って、たったひとつのことのために全てを捧げる。

生きるために。
ただ、生きていくために。
それは刺激的で退屈な時間。
それは刹那的で永遠の真実。
これほど不確かなのに、これほど実感できるものは他にない。
手には温もりが伝わってくるのに、心は空虚で満たされない。
笑顔がとめどなく溢れ出すのに、一瞬の憂鬱があり得ない未来を暗示する。

全ての意味が、全ての価値が、どうでもいいと思える。
自分が壊れていくのを感じる。
自分を壊してしまいたいと思う。

果たして、その末路はきわめて平凡なものだった。
当たり前だけど、現実は筋書き通りにはいかない。

またひとつ自分に言い訳を...


※月の輝きだけは間違いなかったと記憶している。
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by ten2547 | 2008-08-16 16:07 | 旅行