晴れた日にも傘を持って

幸運の石ですよ、と彼女は言った。
まあ、適当な営業トークだろうと軽く聞き流していた。
露店で買った安物のアクセサリーを、それでもその気になってぶら下げた。
ご利益はあったのだろうか?
これ以上ないっていうくらいの幸せに包まれていると気づかないことでも、これ以上ないっていうくらいの不運に遭遇すると見えてくるささやかなものが、こんなにも人を変えてしまうものなんだな、といつになく殊勝な心持で青い海と空を眺めていた。

ラッキーストーンがもたらした満月っぽい夜への上昇気流は、多分今日で終焉を迎えるだろう。
それにも増して自分が行ってきた数々の悪事に対する報いがそろそろ来てもいい頃だと感じる。
今夜、恐らく欠け始めるであろう月の下、僕は踊る。
一晩中踊る。
懺悔の意味も込めて、ひたすら汗を流そうと思う。
そうだ、悪いのはみんな僕だ。
多くの人の犠牲の上に自分がいることを実感する。だから避けてきた紫外線も浴びようと思う。体に悪いこともちょっとはいいじゃないかと思う。

カバンの中には常に傘が入っている。
そう言ってたのに、その日は持っていなかった。
神の怒りに触れたかのような豪雨の中、少しクールダウンした空気とともに、僕もまた彼らともに跪き、手をあわせよう。

今日はそんな日。


※すべてのことがうまくいくなんてありえない。
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by ten2547 | 2008-08-15 13:30 | 旅行