ボトルキープ

金曜の夜、静かなカウンターに腰掛ける。
ボトル、まだあったかな?
ほとんど手をつけていないボトルに2人の名前が書いてある。
ああ。そうだった。あの時入れたんだ。
僕がキミの酒を飲み、キミが僕のを飲み干した。

彼、その後来た?
僕と同様、来ていないようだった。
そうか、ずっとご無沙汰なんだ。
会いたいな、なんて思わない。
今度来た時、このボトルがほとんどカラになっていれば嬉しい。

疲れがたまっていた。
不覚にも眠ってしまった僕は、雨の中、フラフラと歩き出す。
誘えばキミは来るだろう。
でも僕は電話しない。メールはするけど、一緒に飲もうとは言わない。
だから、早くこの酒を飲み終えてくれるといい。

キミが元気でいるならそれでいい。

僕は死ぬまで、焦点の定まらない、あえてその道を選択し、ぼんやりした人生を歩んでいく。
誰のためでもなく、誰かと何かを共有することもなく、閉ざされたエリアの中から騒がしい世界を眺めていたいと思う。
僕が接近しても、向こうから近づいてきても、ガラス越しに触れ合う感覚で、だから何事も起こりはしないのだけど、その中から選択したお気に入りの風景だけを切り取って記憶にとどめよう。
映像も、写真もないけど、いくつかの文字に形をかえて、それは残っている。
ただの過去に過ぎないけど、確かにそこにあった証拠だ。

酒のつまみに思い出なんかを語り合って、僕が出会った人たちのことを思い出していた。


※でも、やっぱり会いたいかも...
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by ten2547 | 2007-11-10 12:10 | 戯言