戻って、泊まって、Cクラス①

何事もなく全て順調に終わるはずだった。
あと30分もすれば機上の人となり、ちょっとほろ苦い思い出なんかに浸りながら、今回の強行軍も悪くなかったな、などと一人反省会をしているはず、だった。
何より、キミに会えたことがうれしかったから、それだけで僕は満足だった。

だけど、僕の耳に飛び込んできたのは搭乗案内のアナウンスではなく、遅延のお知らせだった。機材に問題があり、定刻には飛ばないという。
外を見るとちょっと古い機体にジェット燃料のホースが繋がれたままだし、荷物の搬入もまだで、全く飛ぶ体制にはなっていない様子だった。それでもしばらく待てばいいんだろう、くらいに考えてた。成田で乗り継ぎがあるけど、2時間もあるし問題なし、そう確信して僕は本を読んでいた。
しばらくするとアメリカへの乗り継ぎ客が集められ、何やら説明を受けている。きっと彼らは次の便に間に合わないんだろうな。そんなことをぼんやり考えながら、20分、30分、時間はどんどん過ぎていく。荷物を搬入する係員も手持ち無沙汰な様子でついには座り込んでしまっている。

何かが変だ。
ゲート前がざわつき始めた頃、アナウンスが恐るべきことを僕らに告げた。
『機材に問題がある。その機材というのはコックピットのインジケータのひとつで、メインではなくバックアップ用のものであり、飛行に支障はないものの、これが正常でないと規則で飛ぶことはできない。そこで別のものと取り替えなくてはならないのだが、今ここには代替がない。で、全世界の航空会社に問い合わせたところ、香港にある。』
ほ、香港!?
『これからそれを飛行機でこっちに運んで.....』
確実に4~5時間はかかるじゃないか。
全てが間に合わない。
乗り継ぎも。
家にも帰れない。
どうしたらいいんだ?
『.....次の出発時刻はまだ不明ですが、今日中には飛ぶことができる見込みです』

ここから僕の生まれて始めての体験が始まった。


※そんな飛行機になんて乗りたくないよ。
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by ten2547 | 2007-10-13 09:28 | 旅行