女子高生受難

今朝は不穏な空気が漂っていた。

どんより曇った空はみるみるうちに光を失い、夜へと戻るかのように暗くなっていく。
嵐の前触れのような風が吹き、今にも割れそうな雲の間を閃光が走る。

僕はそそくさと身支度を整えると、右手に鞄を、左手に「燃えるゴミ」を握りしめ、外へ飛び出した。もう数分もすると大粒の涙を大量に落としそうな様子に慌てた僕は腕時計を忘れたことに気付いたけれど、部屋には引き返さなかった。

自然と早足になる。
朝だというのに車はヘッドライトを点けている。
光量に反応するのか、街灯も再び点灯する。

轟く雷鳴。
光る空。
迫る黒雲。
まるでこの世の終わりのような朝だった。

あと数分で目的地というところでついに雨が降り出した。
無情にも信号は赤だ。
こんな時は信号無視も許されるのだろうが、いつもの習慣(=ジンクス)が邪魔をする。
傘を開く。
と同時に若い女の悲鳴を聞いた。
横断歩道の向こう側で同じく信号待ちをしている女子高生は傘を持っていないのか、降り出した雨にこれから自分が受けるであろう悲しい状況を容易に想像できるのか、まさしく悲鳴に近い声をあたりに響かせている。
彼女は天気予報を見なかったのか。
それよりこの空を見上げることはなかったのか。
今日持たずしていつ持つというのだ。雨傘を。

数分後、信じがたい土砂降りとなった。
かろうじて僕は難を逃れたけれど、彼女はこのシャワーの中自転車をこいでいるだろう。
せっかく整えた髪もぐしゃぐしゃに。
下着までぐっしょりと。
そのままの格好で学校に着いて今日一日を過ごさなければならない彼女を気の毒に思った。
僕の鞄の中には365日折りたたみ傘が入っている。
これを貸してあげればよかったかな...

きっと僕はそうすべきだったな。
どうせ骨の折れたボロ傘なんだから、くれてやっても惜しくは無い。

ごめんね。
カワイイ男子高校生なら迷わず走り寄ってたりして。


※新幹線も止まる。
[PR]

by ten2547 | 2007-07-30 23:25 | 戯言