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ヨヒト

もう永遠に晴れないかと思った。

何だかずっと雨ばかりで部屋中がべっとり、身体もぐっしょりで肺の中にカビが生えそうな勢いだったけど、今日は何とか青空だ。
この部屋にも風が戻ってきた、のはいいけど、どっさり水分を含んだ重い空気が駆けていく。
でもエアコンをつけるよりこの方がいいんだ。

そんな湿っぽい空気を一掃しようと僕らは集うのだけど、こんな雨の中響く花火の音も寂しい限りでやっぱり相変わらず冴えないところが僕ららしいよね。なんてみんなを「なかま」呼ばわりするのも悪いクセだとは思うけど。
彼らの行動パターンはわかりやすい。
発する単語は限られている。
飛びつく話題もいつもと変わらない。
でもそれがかえって安心感につながっている。何に対する安心か?
ホレタハレタノ面倒がおきないって安心感、つまり「友達」ってことだね。
こんなこと言うのにこんなに遠回りするのも、実はやっぱりどこかで面倒な自分を引きずっているからで、だからこそそういう面倒を払拭しようと僕は彼らが喜ぶエサを放り投げてあげる。
動物園のサルみたく、
水族館のイルカみたく、
彼らはニコニコ顔で飛びついてくるよ。

ホントわかりやすい。
そして正直それが羨ましい。

友情もカネで買い、愛情にも値札をぶら下げる極悪非情も、ここではありふれているみたいだけど、自分の恋人に売春させてた高校生に比べれば可愛いもんじゃない、僕ら。

キミだったら何だって手に入るでしょ?
返ってくる答えはいつも曖昧で意味不明だけど、「見てくれ」は申し分ない彼が、こんな社会の片隅でうずくまっているのを見るたび、まるで僕らは牢獄に閉じ込められた罪人のような気さえしてくる。もっと広い世界を見てみなよ。僕らの知ってるものなんてほんのわずかでしかないことを自分の目で見て感じてきて欲しいな、なんて余計なことを言おうものなら、すかさず彼らはこう言うんだ。

金がない、ってね。

無いのは金じゃなくて志だろ?
とは言わない。

じゃ、お先に!
僕はここにうずくまっているわけにはいかないんだ。
僕には確かに何もないけど、キミらが一番欲しがっているものだけは、たぶん、十分にあるんだと思う。

今日はいい天気だ。


※でも一番くすぶってるのは自分だった。わかってるさ、そんなこと。

by ten2547 | 2007-07-22 12:22 | 白書