良い子はマネしないでね!

某私鉄のドア付近に僕は立っていた。
昨日までは涼しかったという東京だけど、今日は湿度が高く蒸し暑い一日だった。
冷房は苦手だけど、こういう暑さも身体にはキツイ。
言いようのない疲労が汗となって流れ落ちていった。
これから遭遇するあまり楽しくない大人の時間を思うと、このままこの電車に乗ってどこかへ行ってしまいたいなどと気弱なことも考えてみたりもする。

ドアが開くと坊主頭の集団が乗り込んできて、僕を囲むように群れを形成した。
僕の目の前に若草の香りを発散させた若さが揺れている。
僕の鼻の先で瞬時に水をはじく張りのある肌が上下している。
僕は、どこを向いていいかわからない。
天下無敵の彼らは周囲のことなど目に入らないかのように部活のことを話している。その制服の下にはようやく覚えた性戯に過敏に反応する分身が眠っているのか、それとも既にオトナも顔負けの技術と経験であんなこともこんなことも朝飯前の豪傑と化しているのか、はたまたまだ蕾のまま花咲く時を待っているのか、どうか知らんが、オジサンとしては自分のあまりにも狂気に満ちた青春時代を重ね合わせて、無邪気に戯れる彼らを微笑ましく眺めていたわけで、さっきまでの重い空気は一変し、僕はしばし高校生たちと無言の交流を楽しんだ。
女子高生でなくてホントに良かったな、とココロの中でつぶやき、床に置かれた大きなバッグを掻き分けて、僕は目的の駅で下車した。

何にでも、容易に欲情する自分を封じ込める手段はないことを知る。
これほど嗜好が明確なのに、とっくの昔に「アイデンティティ」に目覚めているのに、自分にウソをついていることに対して、そのまま街中で倒れてしまいたいほどの絶望感に襲われる。
彼は、アメリカで自分の進むべき道に気付いて笛吹きになった。
彼女は、これぞ自分の求めていたものと会社を辞めて芸者になった。
僕は、自分の本当の姿を隠して、何でもないフリをしながら前に立った男のうなじにむしゃぶりついている。

このまま、どこまで行けるんだろうか。
未だにわからない。


※ストイックに生きる。
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by ten2547 | 2007-07-21 00:52 | 戯言