ご懐妊

奴がパパになる。
そ、そうなんだ。おめでとう。

当たり前のことなのに、僕はこころの底から祝ってあげられない。
奴が普通の世界に生きていることは百も承知で、そんなことは絶対にありえないとわかっていながら、寝顔にそっと視線を送った。
お前は彼のほほに触れたよな。髪の毛だったかもしれない。自然で何だかとても美しい光景だった。そしてそれはとても愛情に溢れていた。
僕の思い過ごしに違いないが、その距離感は衝撃的でもあった。
そんな奴も父親になり、その小さな命を守るために何かを犠牲にしていくんだろうな。

おめでとう、よかったね。
そう言いながら、僕は卑猥な想像にふける。
奴の遺伝子が受け継がれる瞬間と、そこに至る営みの映像を真昼間から思い浮かべているうちに、またどうしようもなく気分が沈みこむ。
窓の外を眺めるふりしながら、僕は奴への想いを断ち切ろうと努力する。

きっとかわいい子が生まれてくるんだろう。
そしてお前は優しくてステキなパパになるんだろう。

おめでとう。ホントによかったな。


※僕はひとり自分を汚して拭うこともしない。
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by ten2547 | 2007-05-25 00:00 | 戯言