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おネエちゃんといっしょ

金曜日の夜-
街はどこもかしこも満席状態だった。
普段は開店休業状態の居酒屋でさえ、席を確保することは難しい。
4月の金曜日だもん、そりゃそうでしょうよ。今日ヒマな店があったらつぶれるよね。そうは言っても僕らも雨の降り出した街中をあてもなく彷徨うわけにもいかない。
2時間だけなら...なんてもったいぶる店に何とか腰を下ろせた。周りは異常に騒がしい。隣の集団は学生だろうか。今でもやってるんだな、一気飲みなんて。こっちは大集団の宴会だ。
値段もかわいいのでお勘定も気にせずたらふく飲み食いした僕らが次に向かうところと言えば...もちろんおネエちゃんのいるお店..ではなくて、焼酎のうまいあそこだね。

酔いも回って、まだ帰るにはちと早いとなれば、それにやんちゃ盛りのオトコどもが考えることといえば、ああ、やっぱりそうなんだ。そういう店に行きたいんだ。当然だよね。普通だよね。
内心とまどいながらも、これも付き合いのうちと彼らの後について僕もファンタジーワールドに突入する。こういうのが楽しいんだ。まずい酒につまらない会話、隣の彼女はジュースを飲んでいる。だって19歳だから!あ、そうなんだ。ふ~ん。ゲーノー人は誰が好きなの?うんとね。ジャニーズの○○クン。へえ~そうなの...た、楽しくない。もう帰りたい。みんなは、それなりに楽しいのかな?ハイ!お時間で~す。とお兄さんの号令で即お勘定。信じられない額を払い、とっとと退散した。

家に帰れば奥さんがいる、子供もいる、それなりに楽しい家庭生活を送りながら、タマにはちょっとだけ羽目をはずしたい彼らを見ながら、僕には微塵も感じられない幸福感を羨ましく思う。おネエちゃんと過ごした1時間は彼らにとっての、できる範囲での息抜きなんだろうな。
なんか、微笑ましい。
そして、愛おしい。
先輩っぽく振舞えない僕に気を使ってくれたけど、僕は彼らといる方がずっと幸せなんだ。でもそういうわけにも行かなくて中途半端に佇む自分を持て余しながらも、最後はちゃんと付き合った。ラーメン、餃子、ダメ押しの中ジョッキ。
明日のことも気がかりだけど、あんなに一杯食べたのに、ためらうことなく胃袋に収めた。
隣にいたキミのチェックのシャツが揺れるのを見て僕は理性を失いそうだった。
なぜだかわからないけど、3つめのボタンをずっと見つめていたかった。

※そうやってみんな生きていくんだね。

by ten2547 | 2006-04-15 21:13