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レスキュー隊

川で溺れる。
山で遭難する。
道に迷い、家に帰れない。

朝、家を出る時は普通だった。いやになるくらい、平凡でありふれていて、昨日とどこが違うのかさえわからないほど水平だった。風が少し冷たくなったことさえ気づかなかった。
こうして時を刻むうちに何も感じなくなっていく。
そうなればいい、そうやって何にも感じなくなれば楽になれる。
上下左右、東西南北も、ない。

狂った方位磁石は、間違った方向へ導くようでいて、それは考え方次第なのだ。
間違っているのは自分じゃない。
世の中が狂っているのだ。
みんな、何をシアワセそうに笑っているのだろう。なぜ規則正しく生活するのだろう。このままみんなそろって海へ落ちるかもしれないのに、ある日突然消えて無くなるかもしれないというのに。
将来の不安?そんなものは考えなくていい。
現在だって何一つ確かなものなんてないんだから、未来なんて無責任の果てに横たわる、自分には無関係の世界なんだ。資源も食糧も食い尽くして、最後は自分で自分を食べるんだ。

人の命を救う仕事をしている人がいる。
24時間誰かのために働いている。
この命が危険に晒された時、自らの命をかけて、危険をおかして救助してくれる人がいる。
助けてと叫ぶ声が聞こえる。
何千、何万という声が暗闇に響き渡る。
いくら助けても、その声は途絶えることなく、次から次へと手を伸ばしてくる。
その手を握ろうとした瞬間、思った。
僕を助けて!!

僕を、助けて下さい。

果てしなく続く荒野の只中に、ひとり。
誰も助けには来てくれないことを、僕は、知っている。

でも、助けて下さい...。

※しがみつき、共倒れだ。

by ten2547 | 2005-09-26 22:06