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日常に潜む危機

自分には関係ない、とは思わないけど、いざその渦中に投げ出されると、こうも不安になるものか。朝から動揺して仕事が手につかなかった。得体の知れない「悪意」が僕の安寧を脅かそうとしていた。実際にその魔の手は僕の中に伸びてきていたのだ。音も無く、ゆっくりと、しかし確実に僕の腕をぎゅっとつかんでいた。

朝かかってきた1本の電話は、僕を恐怖のどん底に叩き落した。
なぜ?この僕が?まさか。そんなスキなどない、、とは言い切れないな。というより、いくらでもその可能性はあったということだ。たった一枚のプラスチック片が僕の、大したことのない、それでも僕には大切な平穏を一瞬で亡きものに変えようとした。

利便性を享受した分背負うリスクが大きいことを、そういう世の中に生きているのだということを教えてくれた。どこで盗まれたのかはわからない。盗まれたのはモノではなく、情報だった。僕という存在はデジタルの記号として空間を浮遊しており、それを掠め取ったハンターが暗号を解くように復元した。オマエは誰だ?僕になりすまし、社会の隅の暗闇でどんな顔をして犯罪行為に及んだのか。

ある日、目が覚めたら素っ裸で路上にいるかも知れない。
そんな危機感を十分味わわせてくれる事件だった。
僕はこれから、どう自分を護ればいいんだろう?
攻撃する手段もないまま、見えざる敵に怯えて生きるなんてまっぴらだ。

今もソイツは新たな獲物を狙って、街を彷徨っている。
いや、すぐ隣にいるのかも知れない。

※怪しいのは、アイツか、それともアイツか。
  一番愚かなのは、盗まれた自分じゃないか。それはそうなんだけどな..

by ten2547 | 2005-06-09 21:34