おまかせ

「うちはメニューないんですよ」
その言葉に一瞬凍りつく。
ドリンクも、食事も、ですか?
「はい、何でもおっしゃっていただけばお出ししますよ。」
じゃ、とりあえず、ビールを...

会社の送別会で使った店の料理が抜群に美味しかったので連れと行ってみた。
和でも洋でもなく、どこかのお宅でおもてなしを受けてるような、一品一品が
丁寧に作られた料理を求めて来た僕らは、多少戸惑いながら生ビールで乾杯した。

メニューが無いってことは値段も不明ってことで、それより一体何を注文すればいいんだ?
そんな僕らの背後に店のオーナーがやって来た。

「お腹は、空いてます?」
実は腹ペコだった。
はい、それなりに...
「じゃ、適当にお出ししますから。キライな物はありますか?」
いえ、特にありません。
これで注文は終了。

初めての店じゃない。
味も確かだ。
でも、こんなシステムとは知らなかった。
宴会じゃ注文しなくても次々に出て来るからメニューも見なかったし、
ドリンクはセルフサービスで飲み放題だったし..。
そういえばその飲み放題の種類の多さに驚いたっけ。

いい店なのか、コワイ所なのか。
ドキドキしながら待ってると僕らの前には次々と料理が運ばれてきた。

ひとつも外れのない美味しさに感動する。
何が出てくるかはお楽しみのお任せコース。
食べるペースに合わせるかのように、タイミングよく、適量のお皿が並ぶ。
箸が止まらない。(大丈夫か?)

少し余裕が出てきて店を見渡すと、常連ぽいお客さんがカウンターに並び、
奥の方では宴会が盛り上がっている。
ごくごく普通の光景。
でも、メニューは、ない。

席が空いているか電話した時も、何も聞かれなかった。
一見さんお断りっていう感じでもないけど、気軽に入れる雰囲気も全く無く、
むしろ敷居が高くて、今まで前を素通りしていたお店だ。
やはり、場違いだったか。

お腹も満たされ、ほろ酔いの僕らに主人は言った。
「カレーがあるけど食べます?ちょっと辛いけど」
連れは頼み、僕は遠慮した。もう食べられない。
まるでわんこそば状態だ。もういいと言わなければ永遠に出てきそうだった。

次々と扉が開いてお客が入ってくる。
カウンター奥の棚にはキープのボトルがたくさん並んでいる。
みんなこの美味い料理を目当てに来るのは間違いなかった。
常連になればきっと楽しいに違いない。

さて、最後の難関、お勘定だ。
オーナーの口からお値段が告げられた。
明細もない。料理の名前もわからない。
でも腹は満たされ、お酒だってそれなりに飲んだ。

決して高くはない。
むしろ安い感じさえする。
だけど、その基準はよくわからない。
人を見て決めるのか、出した量で決めるのか、
全くわからないが、とにかく、不思議なお任せディナーだった。

よけいなお世話だけど売り上げ管理や税金はどうなってるんだ?


※早く常連になりた~い。
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by ten2547 | 2011-07-18 08:51 | 嗜好