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忘れ物

僕らを試すように、ハプニングは文字通り、突然やってくる。

キミは冷静に振舞っているようだったけど、本当は倒れそうなほど気が動転していた。
そんなことも知らずに僕はキミの態度に少し苛立ちさえ覚えた。
最悪の事態を想定しつつ、希望も失わないように、
僕らは珍しく混み合ったファミレスで審判を待つ。

結果的に最悪の事態は避けられた。
どういう経緯を経たのかはわからないけど、キミの大切な「忘れ物」は見つかった。
不覚にも涙がこぼれた。
どうして泣くのとキミは笑ったけど、嬉しいというより、何も出来なかった自分が悔しかった。
一番大変なのはキミなのに、僕は何の力にもなれなかった。
それどころか、妙に落ち着き払ったキミに強くあたるだけで、自分は何もしなかった。

そんな自分が情けなくて、だから、泣いた。

翌日、僕らは「忘れ物」を受け取りに、予期せぬ小旅行に出かけることとなる。
全ての事象はどこかでつながっている。
これも、それも、わけあって発生した。
何かを僕らに伝えるために。
ここへ僕らを導くために。

そう思ったら、笑えた。
顔を見合わせて笑った。

どんな困難も、二人なら乗り越えられる。

そんなこともちょっと嬉しかった。
帰りの電車で疲れたキミが僕に寄り掛かって眠るのも、
一緒に買い物して、キッチンに立つことも、
それが起因していると思えば、万事うまく行く、はずだ。

やっぱり、ありがとう、だね。


※まるでこのブログに書いたことで実現したかのような静かな日曜日に感謝。

by ten2547 | 2010-02-15 22:30 | 赤室